随分大層なタイトルを書いてしまったが、私はまだブログをはじめて3ヶ月も経っていない、弱小ブロガーとすら言えないぐらいのよちよちブロガーだ。
以前も書いたが、収益化が目的ではないし(もちろん、お金が入るならそれに越したことはないが)、自分を高めるためのアウトプットという意味でブログを運営している。だが、どうせやるなら何事もしっかり取り組みたい面倒くさい性格が災いして(だが、幸運にして)この本を手にとった。
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ブログを初めて一ヶ月 PVは? 収益は? つらいことは? 楽しいことは?
私は2019年の6月18日にこのブログを始めた。特にこの日付に意味はなく、今思えば管理の良さを考慮して6月1日とかにするべきだったかもしれない。 ブログを書こうと思った理由は単純で、自分に継続する力を ...
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何が面白いかというと、この本はよくある「◯か月でなんと収益◯◯万円!」とか「誰でも出来る簡単ブログ術!」みたいな「稼ごうぜ」的なノウハウ本ではない。より大事なところを教えてくれる、本当に丁寧で素敵な本だ。
Amazonのレビューが良かったから「絶対ステマだろこれ」とか無粋なことを思っていたが、本当によい本だった。「10年先も安定して稼ぎ続ける」とあるが、本当にずっと身について使えるスキルというものを教えてくれる。
この本はこんな方におすすめ
- ウェブサイトの収益化に興味がある方
- 目先の利益ではなくて、技術としてのサイト運営を身に着けたい方
- 人はなぜ特定のウェブサイトに集まるのか、その裏を知りたい方
目次(タップで開きます)
ブックデータ
- Google AdSense マネタイズの教科書[完全版]
- のんくら(早川 修) / a-ki /石田 健介 / 染谷 昌利 /
- 単行本(ソフトカバー) 288ページ
- 2018/11/20
- 日本実業出版社
ウェブサイトで安定して稼ぐには何が必要なのか?
この本は、ちょっと企業の成長戦略等を考える本に似ていると感じた。思ってみれば、どちらも需要と供給で成り立っていて、並み居るライバルの中でどのように差別化を図ったり、競争を避けたり、時にはぶつかっていったりしなければいけないのかを考える点で、全く似たようなものである。
素敵なプロダクトは勝手に売れるかもしれないが、やはり適切なプロモーションは大事だし、何よりも素敵なものは時間が立てば陳腐化する。競合他社が真似をするからだ。
そう考えると、ブログも同じだ。
素敵なコンテンツを書いたとしても、質をどれだけ高めても、結局する抜かれてしまう。売れる記事があれば、それを真似してあやかろうとする人たちが出てくるからだ。
逆に、ライバルが多い、飽和してそうな分野でもそれはそれで差別化ができれば一気に上に来れるから有利という考え方も企業戦略と似ている(もちろん、簡単なことではないが)。
結局のところ、コンテンツの「質」がカギとなるのだと著者はいう。ただ人を呼び込んでも、リピーターにならなければ長期的に見ては意味がない。リピーターがつくのは、そのコンテンツを気に入ってくれた場合のみだ。であれば、小手先のテクニックで人を呼び込むよりも、内容で勝負するべきだという。
私はその「まっすぐさ」が好きだ。奇抜な内容はアルゴリズムの隙をついて一時的な流入を増やしたとして、それは称賛に値する離れ業であることはもちろんだし憧れもするが、そうではなくて、地味でも長期的に安定したほうが個人的にはすごいと思う。
そのためのテーマの選び方、どうしたら10年先も戦えるコンテツにするか、そして記事の更新方法や注意するべきテクニックなどを著者は細やかにアドバイスしてくれる。
個人的に素敵だと思ったのが、「Googleではなく、ユーザーを向いてコンテンツを作るということ」(本書 p.58より)だ。
絶えず変わるグーグルのアルゴリズムに対応するよりかは、内容で勝負しなければならない。ただ、どれだけ時代が変わってもユーザーが必ずとる行動があると著者は指摘する。ネタバレになるので書かないが、「確かに、その通りだ」と思う非常に面白い考察があった。
AdSense広告の設置方法、Adsenseレポートの見方なども解説
もちろん、この本の素晴らしいところは上記のような「コンテンツ技術」だけの話で終わらないことだ。それだけでも十分なのだが、さらに一歩進んで、「ウェブサイトの構築」の話まで展開してくれる。
例えば、検索エンジンからの評価を念頭においた場合、キーワードはどこに、どの程度、どういう具合に配置するべきなのか? さらに他のサイト内の記事と関連付ける場合は、どういう仕組を考えるべきなのか? カテゴリーごとの「まとめページ」の適切な作り方とその効果は何か?
こういった「知りたかったけど意外と知らなかった」テクニックを説明してくれているのは嬉しい。さらにすごいのが、著者の一人は実際にGoogleでこの手のことを仕事としてされていた元エンジニアの方だ。中の人による解説である。
AdSenseのインフィード広告の効果、ネイティブ広告の意義など、テクニカルなこともちゃんとカバーしてくれている。適切な広告の設定の方法や、AdSenseレポートの見方も説明しているので、本当にかゆいところに手が届く一冊だ。
もっとも、この当たりの情報は廃れやすいので注意が必要だ。
それ以外にも、読者のターゲット方法やコンテンツの情報源の取得方法など、色々なサイト運営者のテクニックが紹介されているので非常に参考になるだろう。
「Google AdSenseマネタイズの教科書」を読んで実際にやったこと
この本を読んで、私は何をしたか。
冒頭にも書いたが、私はあくまで自分のアウトプット作業の一環としてブログを運営しているが、そのそもそもの目的もあってか、ユーザー目線に立って、ユーザーが必要なものを提供していないことに気づくことがあって、少々読んでいて耳が痛いことがあった。
独りよがりというか、自分が満足するために作っているサイトだからこそ、根本的なところができていなかったのである。また、キーワードの設定も曖昧なものだった。
とはいえ、もとより稼ぐことに特化するつもりはないのでその当たりは可能な範囲で、目的を妨げない程度に対応して、ユーザビリティを高めていきたいと思う。
ユーザー目線で、相手が求めているものに応えるような形で記事を書いていくのも、とても良い勉強になるだろう。というか、意外にもこれが難しい。いかに自分が普段から独りよがりな考え方でものを書いていたのかが分かるし、普段何気ないきもちで読んでいた他のサイトの方々の記事がいかに高度なものであったのかが分かる。
色々と気付かされた一冊だった。
まとめ お金儲け関係なしに、勉強になる本
この本で書かれている考え方の多くは、ウェブサイトの運営やその儲け方といったフィールドにとどまらず、非常に広く効果的なのではないだろうか。ビジネスの場面でも使えそうな、コンサル的な要素が多く詰め込まれていると感じた。
ユーザー目線というが、それはどういうことなのか。
どのようにそれを実現していくのか。
感情や主観を抜きにして、現実問題としてどうやってユーザー目線に沿っているかどいうかを数値化するのか。
こういった要素に正面から切り込んでいって、与えられた土俵を分析して、長期的な目で物事を見て評価を下していく。このスタンスはとても論理的で、ビジネスの教科書としても非常に有意義なように感じられた。
ブログで稼ごうみたいな本は数多くあるが、ここまで体系的に、そして非常に踏み込んで「ただ稼ぐ」「ただ客を集める」というところから離れて「真にユーザーが求めるコンテンツ作りの正解とは何か」を探求するあたり、とても印象深い作品だった。
ウェブサイトを運営したいと考えている人のみならず、他人に何かを提供する機会がある人ならばぜひともおすすめしたい一冊だ。