私は物理的なモノの整理術と、電子ファイルの整理術は別物だと考えている。もちろん、根幹にあるモノの考え方や整理するという目的は同じかもしれないが、決定的に違う点がある。
電子ファイルは基本的に場所を取らない。そして、見た目が悪くなることはない。物理的なファイルは場所をとるし、綺麗に整理してもやはり景観が著しくよくなるということはなかなかない。仕事関連のものは捨てるわけにもいかないだろうし、やはり厳しいものがある。
しかし電子ファイルはいくらでもやりようがある。そのためにも、非常なシンプルなルールがある。
A place for everything, and everything in its place.
全てのものには居場所を、そして全てをその居場所に
全てのものに置き場所を作ってあげて、その場所に入れ込むだけでいい。
この記事はこんな方におすすめ
- こ必要なファイルがすっと出てこない方
- 整理整頓をしたいけれども、うまいルール作りがわからない方
- デスクトップの上がゴミ置き場みたいに所狭しとファイルが並んでいる方
まずは置き場を作るところから始める
置き場所はロジカルに設定すればいい。マトリョーシカのように、大項目から中項目、小項目へと名前をつけて行く。
気をつけたいのは、年や日付は最後の方に設定するべきだ。年や日付が明確な意味を持つものなら良いが(特定の日付に来た全ての患者のカルテを出したい、とかなど)基本的にはそのような検索は稀だろう。
予算会議の資料を探したいなら、予算会議っていつだったっけ?七月だっけ九月だっけ? となるよりかは、予算会議のフォルダの中にある七月や九月のフォルダを見にいったほうがいい。
フォルダの設定の方法は仕事や個々人のスタイルによるだろうが、いくつか分類方法はある。
- 定期タスク(毎週、毎月、毎四半期発生)なのか? 非定期タスクなのか?
- あなたの所属部署の仕事なのか? それ以外なのか?
- 完成品なのか? 仕掛品なのか?
- 本体資料なのか? 参考用の別添なのか?
なるべく広い範囲のものから、より詳細なものに流れて行く方式にすればいい。誰が見ても辿れるような、ロジカルな流れにするべきだ。
漏れなくダブりなくとは言ったものだが、ものによってはダブりがあることがある。同じ資料を色々な用途で使うことはあるだろう。そういう場合は絶対に資料のコピーは作らない。コピーをしてしまうと、片方を更新してももう片方が更新されないからだ。
その場合は、ショートカットを保管するようにするといい。元のファイルの置き場は常に一つだけに保つのが良い。
バージョン管理は絶対にやるべき
フォルダ名を適切につけていれば、ファイル名はわりと雑でもなんとかなる。もちろん理想はファイル名を見れば中に何が入っているかわかるようにすることだが、そうそううまくいくわけでもない。
例えば、他部署や他社から送付してもらった資料は、おそらくあなたと同じ命名基準で作られたファイルではないだろう。となると、勝手にファイル名を変えてしまうと今度は同じファイルの更新版や差し替え来た時に、オリジナルが分からなくなってしまう。
頭に【●●社より】みたいな名前をつけるのも良いかもしれないが、やはり手間だ。ファイル名を変えるぐらいなら、「●●社作成 ✖︎✖︎関連資料」みたいなフォルダを作ってしまったほうが良い。
自分が作成して管理しているファイルなら、必ずバージョン管理をしていきたい。
ファイル名の末尾に ver1.3 だとか、 20190515とか、そういうものを付けることで綺麗に管理することができる。
自分のファイルのバージョン管理が大事な理由は、ファイル作成者が責任を問われるからだ。前のバージョンからの変化は? とか、どこでこうなったか探して欲しい、とか問われた時に適切な回答を出すためには過去のバージョンを時系列的に見られるようにしなければならない。
ファイル作成者・責任者があなたなのであれば、そこをきちんと抑える必要がある。
メールも同じ考え方で整理整頓できる
メールが大量に届く人の場合は、最初にメールボックス内にファルダを綺麗に作っておくことをオススメする。
自動で仕分けるルールを今時のメーラーは基本的には兼ね備えているので、件名や送信者によって条件分けして、適切なフォルダに新着メールが振り分けられるようにしよう。
大事な案件は自動でフラグを立てたり、通知をつけたりするのもよいかもしれない。
私は毎日数百件のメールを受信するが、フォルダへの自動振り分けで優先順位を確認して処理している。
整理整頓以上に、定期的な見直しはとても大事
もちろん、機械とて万能ではないから、適切な振り分けがなされているかは定期的にチェックすると良いだろう。
最初にフォルダを設定しても、日々業務によって内容を変える必要がでてくるかもしれない。
物理的な書類なら引っ張り出して仕分け直すのは大変だが、電子ファイルならそうではない。キーワードで検索したり、送信者で検索したりとかなり柔軟な対応がスピーディに行える。
ある程度たったら、定期的に見直すのは大事だ。
ファイルは変わらないかもしれないが、その用途は変わってくる。必要に応じて場所を動かして、常に綺麗なインベントリを保つのは大事だ。
金融機関においては当局の検査対応などになると、短い期間で膨大な量の資料をピンポイントで見つけて来なければならない。その際に見つかりませんでしたではシャレにならないので、日頃の丁寧さが大事だ。
いざ異動したり転職したりで引き継ぎをする際にも綺麗なフォルダ構成は重要な要素になる。
また、不要になってきたものはなるべく削除はせず、圧縮して保管するのも大事だ。削除してしまうとバックアップセンターなどがない限り、永遠にファイルは消えてしまう。なるべく圧縮などでしのぎ、本当に容量の問題などに接したらどれを削除したらよいかわかるようにフラグ付けをするとよい。
会社の場合は社内の文書保存規定などで保管期間が定められているであろうから、それに従うようにしよう。
まとめ 電子ファイルの整理整頓は簡単
適切なフォルダ構造さえ最初につくってしまえば、あとは深く考えずにルールベースで処理できる。
私は一日の業務終了時の習慣として、その日受信したメールを全て適切なフォルダに移動しているかを確認することを日課にしている。こうすることで、返信を忘れているメールがないかなども確認できるし、いざという時に検索性がぐんと上がる。
ファイルも同様で、作ったりもらったりしたファイルは必ず適切な場所に保管するように癖をつけておくとよい。
仕事をする上で、あのメールどこだっけあのファイルはどこだっけとやる事ほど無駄なことはないし、逆に適切な保管場所さえ設定されていればいちいち細かいことを覚えなくても済むようになる。
大事なファイルやメールは保管場所とそのショートカットを書いたメモ(できればEvernoteやOneNoteみたいなクラウド管理のもの)を用意しておくなど、管理していくのものよいだろう。
全てのものに居場所を、そして全てをその居場所に。
シンプルかつ明快なルールに従って、日々の悩みを削減していこう。