意識高い系ブックレビュー

「サピエンス全史」はまさにトリビアの泉、おもしろエピソード満載なおすすめの一冊

サピエンス全史

久しぶりに「面白い本」を読んだ。とにかく内容が面白い

歴史・トリビア・当たり前だと思っていたけど意外と違う・・・といったネタが好きな人にはたまらない本だろう。考えさせられる箇所は非常に多いし、「そんなこと考えてもみなかったなぁ、そうだったのかぁ」となるところも多い。一章ごとについ「誰かに話したくなる」ような知識が身につく。だけれども、全体としてはあまり芯が通っていないように感じられた。

人類の発展をいくつかの軸に切り分けて考えるのが本書の構成だ。

とにかく小ネタが面白く、歴史トリビアみたいなものが満載で読んでいて飽きない。小説感覚で読めて非常に面白いのだけれども、持ち帰りは少ないかもしれない。

この本はこんな方におすすめ

  • 人類がどのように発展してきたかを楽しく学びたい方
  • 少しずつ読み進められる、雑学満載な本を読みたい方
  • とにかく刺激的で面白いノンフィクションを読みたい方

ブックデータ

  • サピエンス全史
  • ユヴァル・ノア・ハラリ
  • 単行本: 300ページ (上下巻)
  • 2016/9/8
  • 河出書房新社
サピエンス全史(上) 文明の構造と人類の幸福 サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福

サピエンス全史(上) 文明の構造と人類の幸福 サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福

ユヴァル・ノア・ハラリ
1,881円(11/24 13:23時点)
発売日: 2016/09/09
Amazonの情報を掲載しています

大きなテーマに沿って展開されるトリビアの泉みたいな本

はじめに断っておくが、私は英語版を読んだ。

理由は単純に分冊が嫌いだから。そしてキンドル版でも良かったけれども本棚にちょうど良いスペースが開いていたから。ゲームオブスローンズと並べるとちょうど良いんですよ・・・。
とにかくそういうわけで、訳については全く言及できない。

さて、この本には当然ちゃんとしたテーマがあるし、人類の発展の歴史をいくつかの軸を通して見ていくという大きな流れがある。
だけれども、それぞれの軸に出てくる小話が面白すぎて、全体を見失ってしまうところがあるのも事実だ。

それらの小ネタは筆者の主題をサポートするようなもので、あっと驚くようなものもあれば「そうだったのかぁ」と軽く頷く程度のものもあり、しかしほぼ全てが面白い。ウィットに富んだ雑学博士と話しているような感覚だ。

とはいえ、雑学の寄せ集めではダレてくるし、そこはやはりちゃんとテーマに沿っているから面白さが一層際立つのだろう。

本当のことはわからないけれども

基本的に人類の進化や文化の発祥といったあまりにも昔すぎる出来事については、証拠も何も残っていないので憶測の話しかできない。当時の人間が何を考えていたかなんてわかるはずがないのだから、雲をつかむような話ではある。

しかし、なぜ人は宗教を信じるようになったのか、はたして科学が進歩して正解だったのか、そういう「終わりのない議論」に丁寧に肉をつけて語っていく著者のスタンスは本当に読んでいて楽しい。「まだこんなに先があるのか」と思うことは一度もなく、流れるように展開していくから見事だ。

私もよく「アマゾンの未開の部族としての幸せと、科学技術に囲まれてピーピーiPhoneが鳴っている自身の幸せと、違うのだろか」とか面倒くさいことを考えたりする。そういったことにある程度回答を与えてくれる・・・とまではいかないが、「これこれこういう理由で、今と昔はこういう風に違う」そして「しかしこれこれこういう理由で、前の姿に戻ることはできない」と説明してくれるのだから素晴らしい。

つまるところ、歴史は面白い。

歴史って本当に面白い

歴史に残るような話は基本的に突出しているのだから、それを寄せ集めた流れとしての歴史が面白くないわけがない。そこに著者の独自の解釈やデータに裏付けられた様々な仮説などが合わさると、これはもう絶対に面白い。

中には「そんなことがあったの?調べてみよう!」と思って調べたら海外のサイトで「これはソースがない」と書かれていたりしてがっかりしたが(ビッグベンの鐘の音で天候を予報していたナチスドイツの話等)、まぁこれだけ小ネタを挟めば怪しいものもいくつかはあるだろう。

だが大事なのは流れであり、一つ一つの小ネタが合わさっていくとこういう潮流が出来上がる、というのがわかる。

人間は効率的だし、残酷だ

食肉や鶏卵がどのような過程を経て食卓に並ぶのかのくだりではうんざりするほどに人類の身勝手さと残酷さを見せつけられたが、しかし同時に(不謹慎かもしれないが)人間の効率を追い求める姿勢、そしてそこまでしなければいけない世界の情勢には感心させられた。

民族の虐殺、奴隷制度、様々な面で人間の残虐性を著者は赤裸々に語っていくが、しかしそれがまた人間の本性なのだから感嘆する。人道とは何なのか、啓蒙とは何なのか、そして発展とは何なのか。文化の重み、社会性、宗教の正当性、あらゆるものが非常に緻密に積み上げられて現在のわれわれの生活がある。

それはもちろん、義務教育で学ぶようなことだ。しかしその原点に立ち返って、なぜそうなのか、これからどうなるのか、なぜ戻れないのかを本当に淡々と調理して食べやすい料理にしてくれる著者には脱帽する。

とはいえ、何を持ち帰るのだろう。

久しぶりに「面白い本」を読んだ。とにかく内容が面白い。歴史・トリビア・当たり前だと思っていたけど意外と違う・・・といったネタが好きな人にはたまらない本だろう。考えさせられる箇所は非常に多いし、「そんなこと考えてもみなかったなぁ、そうだったのかぁ」となるところも多い。一章ごとについ「誰かに話したくなる」ような知識が身につく。だけれども、全体としてはあまり芯が通っていないように感じられた。

確かにテーマはしっかりと決めているが、「人類とはこういものだ」とドンと出されてそれがいかに読者に染み込んでいくのかを試すような作品にも感じられた。スケールが大きすぎて、そして人間があまりに多面的でつかみにくいから総括できなかったのだろうか。むしろ、得るものが一つ一つ大きすぎて、私がうまく消化できていないのかもしれない

いずれにせよ、これほど面白いまじめな本は久しぶりに読んだ

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サピエンス全史(下)文明の構造と人類の幸福

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